歯車党日記

オタク系フリーライター&編集者・石黒直樹の徒然日記&コラムです

家族会バッシングに見る「温度差」

04/06/02-18:54
『物は言い様』そして『かわいそうぶるのもいい加減にしろ』((C)『勝手に改蔵』)

 先日の日朝首脳会談を境に起きた、家族会へのバッシングはすべてこのふたつに集約されるような気がする。色々と見解はあるだろうが、蓮池・地村氏の家族5人を連れて帰れたのは間違いない「成果」である。たった一度の会談で全てが解決してハッピーエンドになる程、北朝鮮問題は単純ではないのだから、確実に一歩づつ進めるべき事柄だろう(人道支援にしても、今回は先日の列車爆発事故の救援の意味合いもあるのではないかと思っているのだけど)。それにも関わらず、実際に働いた小泉首相をああも感情的に罵倒すれば反感しか買わないということを家族会は理解できなかったのだろうか? まして相手は、掛け声ばかり勇ましくてなかなか成果を出せないけれど、人気は何故か高いベビーフェースである。森喜朗前首相や鈴木宗男のようなヒール相手ならともかく、善玉キャラの小泉相手にそれをやったら返ってくるのは国民という支持者の反発のみだ。

 自分も問題の会見はNHKで当日深夜に放送されたものをみたが、正直「そこまで言うんだったら、もう政府は当てにせず、家族会がNGOとして北朝鮮に乗り込んで好きなだけ調査すればいいだろう」と思った。バッシングを受けて後日発表されたアピールでは「首相に感謝の言葉を述べたが、報道されなかった」とあるが、これが記者会見でのことなのか報道陣抜きで行われたと思われる直接面談でのことなのかはどうもわからない(たぶん後者だと思うが)。でも、礼を言いつつもああもくそみそに罵倒したのでは、例えどちらも一緒に報道されたとしても批判は免れなかったのではないだろうか。どんなにその怒りに正当性があろうとも、感情的な罵倒だけでは他者の支持を得ることができないのは、世間に浸透した常識なのだから。世論の反発の大部分も「家族会の怒り」を否定しているのではなく、「常識のない言動」を嫌悪してのものなのだから。

 今までの家族会のパターンを見ていると、罵倒も交えながら問題を煽る蓮池透がヒール役を一手に引き受け、他の被害者家族は「苦難に耐えながら真摯に問題解決に尽力する善意の人」という色分けがなされ、それによって世論の興味を引きながら支持をうけるという理想的なパターンが確立していたように思える。
でも、今回は罵倒役になるべき蓮池透は「親族が無事戻ってきた拉致被害者家族」という罵倒役を演じられないポジションになってしまったのが災いしたのではないだろうか。あの会見で家族会がなすべきだったのは、今までの真摯なイメージを保ったまま、今回の件で拉致問題幕引きのムードを作らず、問題点を冷静に指摘した上で政府にさらなる尽力を願うべきだったのだ。そうすればさらなる世論の支持を得て、それを背景に問題解決へのさらなる政府の注力を要求するという理想的な展開に持ち込めたと思うのだが。

 あと、今回の件に関する家族会の困惑には「自分たちは被害者なのに何故」という自分たちが「弱者」という意識があるのではないだろうか。でも、家族会という存在はすでに弱者ではなく、アジア外交の流れを左右する「圧力」を行使できる「強者」になっているのだ。拉致議連のような政治家の支持グループが生まれたのだって、純粋な義憤だけでなく「問題解決に尽力することが議員活動の実績としてプラスになる」という利がある故だろう。そこまで見越してうまく政治家を利用するぐらいの考えがなければ、それこそ拉致問題の風化を招きかねないだろう。

 それにつけても、今回の件でのマスコミの反応はどうにも煮え切らない。家族会批判はタブーという暗黙の了解が破られたことに対応できていないというか。
 産経新聞名物の電波コラム「産経抄」は、イラク人質及びその家族に対する匿名の誹膀中傷が寄せられたことに対しては4/16掲載分では

「視聴者や読者の反応を確かめてごらんなさい。ほとんどの人が強い不快感や違和感をおぼえている。家族の言動を助長していたのは、テレビのキャスターやコメンテーター、そして一部新聞の情緒的な社会面作りだったのである」
「家族への抗議には確かに心ない嫌がらせや中傷もあろうが、しかしその言動をたしなめる声も多く含まれているはずだ」


と「誹膀中傷も含めて世論の批判はもっともなことだ。厳粛に受け止めるべき」と支持する姿勢を見せているというのに、今回の件に関しては5/28掲載分

「「世論なんてお盆の上の豆のようなものよ」とは作家・曽野綾子さんの言葉である。「お盆を右へ傾ければ、ザザーッと豆は右へ転がる。左へ傾ければまた左へザザーッと…」。とくに昨今のメールなるものは、自分は身を隠して物の陰から人を一方的に攻撃する」

と「世論なんていい加減なもんだから気にするな」「電子メールなんて卑怯者が使う抗議手段」と叩いている。たった一ヶ月そこらの間に、こうも正反対のことを堂々と朝刊一面に書ける石井英夫ってすごいですね(笑)。今回の抗議メールには、家族会の礼を欠いた言動をたしなめる声も多く含まれていたと思うのですけど。

 しかしこういった批判・誹謗中傷が電話やファックスなどアナログな手段だと「国民の声」で、メールや掲示板などのデジタルな手段だと「匿名の卑怯な行為」という紋切り型の認識が未だ多いのはどういうもんなんだろうか。石井英夫の場合はそもそもデジタル関係自体に疎いらしく、電子メールがそもそもどういうものかわかっていないらしいのだが、それ以外の部分では「2ちゃんねるによって形成されたネット言論へのネガティブイメージ」や、「自分たちの思い通りに動かせない本音の世論に対する恐れ」があるんだろうけど。
 もっとアホらしいのは、家族会バッシングを糸口にネット上での誹謗中傷に法的規制を書けようと言う動き。イラク人質事件の時は、ネットや世論の尻馬にのって自己責任だの救出費用請求だのと吠えていたのはったいどの口だ?

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( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェー

Posted by 石黒直樹
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