オタクという趣味は単純じゃないのだ(;´Д`)
04/03/24-20:13
『映画秘宝VSわたおに』の話題で色々な人に見に来ていただいたりリンク貼ってもらったりで、「ああ、何かBLOGってるなあ」と感慨に耽ってる石黒です。何せ今までアクセス殺到したネタが
「新声社倒産」とか
「ラポート倒産」とか、同業他社の不幸ネタばかりですから(;´Д`)
●リンクを回ってたら見つけた面白リアクション
http://members.edogawa.home.ne.jp/t20/baka.html うーん、他の映画秘宝シンパの人にもありがちな反応ではありますが……どうしても
「わたおに」をコケにされたからオタが必死に因縁つけてるって構図にしたいみたいで(;´Д`)
俺が引っかかってるのは、3/22更新分に書いたとおり「作り手側のダブルスタンダード」なわけで。対象とされているのが自分も関係者とは言えなくもない『わたおに』で、高崎の事件が悪い意味で絶妙のタイミングでおこったり、日本テレビがスーパードルフィーと事件が関係あるかのように報道したりしたおかげで、色々とややこしい捉え方をされているようですが。今回の件に関する他の方々の反応はともかく、俺自身がこだわるのはこの一点のみ。
俺はそういった誤解をされる「覚悟」をオタクは(萌えヲタもアニオタも、無論映画オタも)持つべきだと主張します。「秘宝」は「映画ヲタ」であり、「殺人映画」も鑑賞こそしていますが、彼らはそう見られていることをいわば業として受け入れている。それがこの文章で「正論」として挙げた「世間向け」文章になる。要は意識の問題です。
それはまったくもってその通り。だが、それならなおのこと、自分たちが「○○の影響」という誤解のレッテルを貼って叩きに走る無知なマスコミと同スタンスに立たないよう自戒すべきでは。自分も出版業界の人間だからこそ、よけいにその想いは強いわけで。
その他の部分については……まあ俺が「オタクが秘宝に『わたおに』をけなされて必死に怒ってるぜ」というこちらの主旨と全く異なる前提で書かれている以上、反論のしようもないのでノーコメントですが(;´Д`)。
他に目にしたリアクションに
「(石黒が)記事の一部だけ載せているのが怪しい。全体を見せずに一部分だけ誇張して煽っているんじゃないのか?」ってのもありましたが、あの部分以外の記事は『エルム街の悪夢』シリーズに関する記事と一挙発売されるDVDの宣伝のみ。むしろあの『残虐記』レビューのみが
脈絡もなく挿入されてるのだ。
“もし本当にフレディのような人がいたら?”という見出しつけているけど、あの小説自体『エルム街』やフレディとの類似性はないし(少なくとも、ベースとなっている週刊アスキーでの連載『アガルタ』を読んでいた記憶の限りでは)。しかも本の内容にはほとんど触れず、ただ犯罪者と萌えオタ叩いてるだけ(;´Д`)。
レイアウトの切り間違いか、コラムの発注ミスとかで空いたスペースに
「フレディは子供を殺す→子供を殺したのは宮崎勤や宅間守→子供に対する犯罪はエロ絡み→よくわからないが『わたおに』はロリエロらしい→桐野夏生の新刊はロリエロ犯罪絡み」という連想ゲームのような流れであの記事ができたのではないかと想像するのだが。まあ、まさかこれを掲載した号の発売直前に、高崎のような事件が起きるとは予想できなかったんだろうけど(月刊誌の校了タイミングではまず無理)。宅間守の池田小児童殺傷事件が発生した直後に発売されたコミックビームで、「自分は精神病院通ってるから、あなたを殺したとしても無罪放免」なんて内容の台詞を編集者に吐かせちゃってた『幽玄漫玉日記』を思い出しましたわ(笑)。
で、オタ向けデジタル録画のえらい人・
本田透さん@しろはたが
3月22日付けの日記で色々とコメントを〜。
にゅふふ、石黒さんが日記で怒ってるじょう。怒りまくってるじょう(;´Д`)(;´Д`)(;´Д`) 怒ってるようにみえるんでしょうか〜? いや、怒っているというより秘宝らしからぬ記事内容とスタンスに「なんだかなあ」と悲しいやらあきれるやらというのが近いかも知れませぬ。『エルム街』特集での『わたおに』=萌えオタ叩きはもちろんだけど、『実録殺人映画ロードマップ』の後記の妙にマジメぶった殺人映画擁護も(まあ、あれだけ
映画に影響されたバカの犯罪レポートが載っていたら、ああ言わざるえないとは思うけど)。
とにかく、しろはたの読者層をみれば分かるように、秘宝読者の多くがアニオタ兼任だということを、編集部さんには分かってほしいところですね。(;´Д`)
そうなんですよね。そもそもアニメ自体がある種の閉塞状況にあった時、
面白いものに飢えていたアニオタに「バカ映画を楽しむ」という価値観を提示して、新たな映画の楽しみ方をオタクに教えたのがA5版時代の映画秘宝だったことは疑いようがないのだから。確かこの当時、同じようなアプローチ(バカ映画オンリーではないけど)を試みていたのがオタク・アミーゴス(岡田斗司夫・唐沢俊一・眠田直)だったと思うのだけど、こちらはライブ中心だったので自ら会場まで足を運ばなければ、その世界を体験できなかった(だからこそ深くてコアな面白さがあったんだけど)。そんなディープな世界を、雑誌という手に入れやすい形で送り出した映画秘宝が、当時のオタク層に与えた影響はハンパじゃなく大きいはず。もしも映画秘宝が誕生せず、オタクが映画に目を向けるきっかけがなかったら、所謂“秘宝系”の客層の広がりも今程でなく、『オースティンパワーズ』『ムトゥ』『少林サッカー』あたりのヒットのレベルも小規模だったんじゃなかろうか。
編集部がいくら毛嫌いしようとも(まあ、やたらオタを牽制するような文章が目につき始めたのは最近になってからだけど。ウェイン町山氏が中心になっていた頃にはオタ叩き自体あまりなかったし。そういや、映画秘宝はアメリカの学校における差別構造に言及することが多いってイメージがあるけど、そういうのって町山氏の寄稿がほとんどのような気が)、
多くのアニオタを映画の世界に引き込んだのは、他ならぬ映画秘宝自身だってことです。それなのにオタク排斥みたいな論調がかいま見えるのは、映画業界で確固たる地位を確立できたから、客はもう純粋な映画マニアだけでいいんだよという姿勢なんでしょうかね(;´Д`)
で、ようやっと今回の本題に(^_^;)。今回の一件で改めて思ったのは、なんでオタクを
「一つのこと以外に興味のない偏狭な人種」と決めつけたがる輩が多いのかということ。一般マスコミは言うに及ばず、今回の件における映画秘宝編集部や
「オタクは萌え要素の順列組み合わせで萌えるもの」「オタクは萌え要素にのみ興味があるのでアニメの作画の品質などは(゚ε゚)キニシナイ!!」などの珍説を披露した“辛辣な批評家”先生等々……。
オタ系の日記サイトなど、めぼしいところを巡回してみればすぐにわかると思うけど、「特定ジャンル以外に全く興味を示さないオタク」っていうのは実は意外と少ない。むしろ今は琴線に触れる面白いものに出会えば、映画・スポーツ・演劇等々、何でもどん欲に取り込むタイプの方が多いのだ(「そんな一部だけを例に挙げても」と言う人もいるだろうが、むしろそういう人が考えているステロタイプなオタク像こそ、いったいどれだけのサンプルから獲得されたものなのか怪しいように思える。コミケやアキバの人混みを眺めての感想? 偏ったニュース番組や雑誌の記事?)。本田さんも指摘する「アニオタの秘宝読者」であれば、
美少女キャラに萌えてエロ同人誌に(;´Д`)ハァハァする一方で、『リベリオン』『少林サッカー』『男たちの挽歌』とかに燃えたり、『タクシードライバー』で内なる怒りの炎を燃やして脳内トラヴィスと化す……萌えと燃えをさしたる矛盾も無く両立できるのだ。 むしろオタクより「マニア」と称される人の方が、特定のジャンルにはまり込んで視界が狭くなりがちのように思える。前述のような「オタクが『わたおに』をバカにされて吠えてる」と捉えたり、『わたおに』のヒット※を単純に“萌えというわけのわからない現象によるもの”としか理解できない人のリアクションとかは、理解の範疇外のものを頑なに拒否しているだけのようにも見える。
※「萌えという現象が持つバカバカしさを突き詰めた、一種自虐的なコンセプト」「『あずまんが』関連で定評のある、よつばスタジオのプロデュースセンス」「数々の名作・話題作を送り出してきた造形師・大嶋優木の実力とネームバリュー」まで含めて考えないと、ヒットの意味は正確に捉えることはできないだろう。 ちょっと前まで(今もか)「オタク世代論」というものが一部で激しく論じられていたが、これを振り返ってみると「オタク」の捉え方がまず食い違っていた。岡田・唐沢両氏をはじめとする、所謂オタク第一世代は「それぞれこだわるジャンルなどがあっても、面白い物はどん欲に受け入れていく」のがオタクと捉えているが(岡田・唐沢両氏がホストを務める、年末恒例イベント「日本オタク大賞」を見ているとよくわかる)、東浩紀氏を中心とするアカデミズム系(というかエロゲー文壇派?)のオタク第三世代は
「美少女キャラ・萌え=オタク」とかなり限定した定義(&性的な面)でオタクを語ることが多いように思える。オタクを自分の経験に基づき「ディープな趣味人」として語る第一世代と、アカデミックに語るために定義を絞る第三世代といった図式なんでしょうが、後者のような「語りたいこと」が前提にあって、それに「オタク」を当てはめるという図式は、マスコミによるネガティブ報道と同質のように思える。
アカデミズムなオタク語りも、一般マスコミおよび近親憎悪のような別ジャンルからのバッシングもけっこうだけど、もう少し現状を正しく認識してから言いたいだけ言ってほしいものだ。的外れすぎるバッシングばかりでは
誤解をされる「覚悟」を持とうにも力が入らないですし。
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( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェー
Posted by 石黒直樹