とりとめない覚え書き「ラノベブームはいつかきた道」
05/01/16-02:11
先日書いた
『今のライトノベルブームは実は「ライトノベル評論ブーム」なんじゃないかと。』という一文が一部で妙に反響を呼んだようなので、色々考えてみたことをつらつらと。ちょっと練り込み不足の部分もあるけど、そこらへんは「覚え書き」ってことでご容赦を。
1980年『機動戦士ガンダム』の劇場版が公開記念イベントとして、新宿アルタ前で行われた
『アニメ新世紀宣言』。「アニメは決して子どもだけのものじゃない! 世間にだって通用する立派な映像作品なんだよ」という、社会や世間に対するアニメファン(オタク)サイドからの宣戦布告だったわけですが……その後、ガンダムの流れをくんだリアルロボットアニメが多数登場するも、それが本来の視聴者である子ども層のアニメ離れを招いて、アニメ全体が地盤沈下するハメに。結局TVアニメは本来の子ども向け作品がメインとなり、オタク向けの作品はオリジナルビデオアニメへと分化していくことに。
その後『エヴァンゲリオン』で再度同じような上昇と下降を経て、「子ども向けじゃない」アニメ作品は一部を除いて衛星・U局・深夜帯と視聴者の限定されるメディアへと場を移していくことになり、「TV放送はDVDを売るためのCM」とまで言われるような状態にまでなってしまっている。はたしてこれは
『アニメ新世紀宣言』が夢見たアニメの未来だったのだろうか? これは別にアニメに限った話じゃない。例えばアントニオ猪木の新日本プロレスは、
「社会にプロレスを認めさせる」という意図の元に異種格闘技戦などをはじめとする様々な仕掛けを放ち続けてきたけど、結局外に目を向け続けてきたがために集合・離散を繰り返し続けて衰退していき、エンターテイメント性はWWE、勝負論はPRIDEやK1、そしてプロレスそのものは「みんなが格闘技に走るのでプロレスは独占させていただきます」と地に足をつけて充実を計り続けてきたジャイアント馬場の系譜(全日本プロレス→NOAH)へと道を譲るはめになってしまっている。
ジャンルの高い評価をそれ自身のレベルアップで勝ち取るのではなく、世間から評価されることで得ようとした瞬間からジャンルの衰退ははじまるのかもしれない。 ライトノベルブームに関しても、こんな感じの不安を感じずにはいられない。出版点数やレーベルの増加という形で書店や営業部は「ブーム」を感じているのかも知れないけど、実際に作品を作っている編集の現場では、別にブーム以前と以後で何か顕著な変化があったわけではなく、いつも通りに作品を作って送り出しているだけである。この受け手と送り手の間に微妙なズレは、かつての『エヴァンゲリオン』ブームに似たものがある。あのブームの全盛期にも、ネットで熱狂的なファンたちがこぞって作品の解釈などについて熱く語り、それに呼応する形でサブカル・アカデミズム系のライターたちがこぞって『エヴァ』を語る本を出版していった。でも、やがて作品の方が受け手の間で膨れあがった『エヴァ』幻想に応えきれなくなり、伝説の最終回→完結編となる劇場版の分割公開がブームにトドメを刺した。そこで描かれた『エヴァ』は、ファンが様々な議論を通してそれぞれの中に作り上げていた『エヴァ』を越えることができなかったのだ。
対象作品自体が多岐に及ぶライトノベルが、『エヴァンゲリオン』と同じような末路を辿る可能性はないと思う。でも、数々の評論・レビュー本や
こういった広告代理店的考え方の売り出され方をすることが、ジャンルに一体どういう影響を及ぼすのか一抹の不安は残る。『ガンダム』『エヴァ』ブームによって作品としてのクオリティが上がる反面、客層をどんどん狭めていったアニメーション。
「十代のための活字エンターテイメント」(私的ライトノベルの定義)として歴史を積み重ねてきたライトノベルが、アニメのように妙な権威付けをされて狭い世界へと閉じていきはしないだろうか。オタク大賞ではライトノベルの安っぽい面の代名詞みたいな感じで「あかほりさとる」の名前が引き合いに出されていたが、活字に縁のなさそうな子どもでも気軽に読める、あかほり作品の間口の広さこそがライトノベルを名乗る最低条件じゃないかと思ったりもするんだが。そして「インディーズ文学」なる出自と「新伝綺」なるジャンルを与えられ、「コミケ」「同人誌」「エロゲー」というルーツを隠蔽されて売り出された(※)『空の境界』ははたしてライトノベルといえるのだろうか?
※産経新聞で『空の境界』の大ヒットが記事にされた際に使われたフレーズが「インディーズ文学」で、記事中にはコミケや同人誌と言ったオタク的フレーズは一切使われなかった。これが講談社サイドの方針なのか、産経新聞が意図的にオタク色を消す方向で記事を作ったのかは不明。
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( ・∀・)つ〃∩ ヘェーヘェーヘェー
Posted by 石黒直樹